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幻の名盤開放歌集*BMGビクター編 資本論のブルース
「くらいマックス」の収録されている唯一のCD音源ということで、思い切って全曲レビューしてみました。
これで、「くらいマックス」で検索した人がここに来てもひと安心ですね。
あくまでファーストインプレッション、変なことも言っていますが受け流して頂きたい。
誰かが誰かのお父さんとかだったりしても怒らないで下さい(笑)。
01. 資本論のブルース / 大城晋
刻みのベースに尺八が絡むという、初っ端からきついパンチの和製ブルースである。
ヘーゲル マルクス エンゲルス 何だかんだのガード下資本主義への闘争とも恭順とも取れる不思議な曲だ。
02. ぱぴぷぺぷぺぽ / ジョージ吉村
ジャケットのおっさんが歌う軽佻浮薄なあえぎ歌謡。
このおっさんがぱっぷぷぺぷぺぱぴ歌うのに、じわじわとやり場のない怒りがこみ上げて来た。
03. 遊び人ブルース / ジョージ吉村
間奏ごとにセリフが入る、まさに男のブルース。
お前ばっかり苦労かけて 本当にすまねえなあという語りで始まるが、ジャケットと曲名を見る限り、嘘八百もいいところである。
04. だまされごっこ / 港雄一と浦野あすか
(女)いやよお願い それだけはと、女性の方は歌なのに、男の方は終始ドスの効いたト書台詞。違う意味で凄まじくムード歌謡している。
(男)ここまでついてきて何言ってやがるんだ! この野郎 いい加減にしろよ!
恋は大人のだまされごっこであるらしいが、むしろ強姦の美学の方に強く感じ入る佳曲であった。
05. 夜の銀座と長崎と / 港一郎とルナ・ジェーナ
楽曲的には素晴らしい完成度なのだが、如何せんハワイアンとチャイナが基調のR&Bとしての話。
長崎はともかく、銀座は関係ない。
06. 愛して分かれた港町 / 長崎二郎
今度は横浜・神戸・長崎と港町特集。この曲もイントロが尺八である。歌謡曲に尺八はデスマッチである模様。
こっそり有線で流しても良いかもしれない。
07. 太陽の剣 / ザ・ブルー・インパルス
ここからは9曲はグループサウンズ。
ザ・ブルー・インパルスの放ったこの蒼い衝撃曲は、
泣き濡れる太陽の剣で あなたを(射止めたい)と、男根を高らかに謳い上げる迷GSであった。いったいナニで泣き濡れているのか。
08. 夜明けに消えた恋 / ザ・ブルー・インパルス
そのリフとメインフレーズのカッコよさに、後世のGSトレース曲に多く影響を与え、また国内外で多くカヴァーもされた隠れた名曲(最近だとぱにぽにの「黄色いバカンス」が明らかにこの曲のリフを踏襲している)。
まさに蒼い衝撃!
09. メランコリー東京 / ザ・ブルー・インパルス
「太陽の剣」の路線を受け継ぐ哀愁系GS。
前作で消化不良だった関係感とも言うべき楽曲空間を見事に形成した名作。耳に残る蒼い衝撃。
10. 苦しみのロック / ザ・ブルー・インパルス
失恋して苦しいという歌。
歌い出しから「くるしい~」と徹底。しまいにゃ「もうやだやだ~」と、異様にファズのかかったギターと共にうめく。
最後まで蒼い衝撃であった。
11. 悪魔がくれた蒼いバラ / ザ・リード
今の人には「MALICE MIZERの世界観をGSで再現するとこんな感じ」と断言できるパーディショナル・クラシカ・GS。
青いバラだきしめ この胸はつめたいプログレの要素も強く持つ、何とも壮大な楽曲。
12. 沈黙の海 / ザ・リード
何を間違ったのか、「悪魔~」B面はサワヤカムードGS。
とは言えキング・オブ・裏クラシカとも言うべき風格。
夏のことを忘れた海 ひとりの渚よ13. マンハッタン無宿 / ザ・リード
クリント・イーストウッド主演の映画曲のカヴァー。全編英語だが、そもそも彼らは全員外国人なので(!)、全く違和感が無い。アグレッシヴGSの名曲である。
当時の日本のバンド界隈に、ブルースのチョーキング奏法を伝授したのは、ザ・リードのマーク・エルダーであるとのこと。
彼らはまさしく日本歌謡曲、さらには後のJ-POPから見ても重要なグループでもあったのだ。ギターがかっこいいぜ!
14. 渚のドロシー / ザ・ベアーズ
ドロシー~おお~ドロシー~♪と、それだけが耳に残るなんとも言えない歌謡曲GS。
「伝えておくれ」を「ちゅたえておくれと」発音するのも酷く耳障りである。
ところでイントロがザ・ホワイト・キックスの「愛のことば」の明らかなパクリなのだが、訴えられなかったのだろうか。
15. 蒼い砂漠 / シルクロード
ブラス・バンド的アプローチを試みたGS。
だが、トランペットのアイロニカルな音色は、歩み寄りというよりは、場を違えてしまったかのような哀愁を思わせる。
16. 新小岩から亀戸へ / 潤まり
おんな一人無宿を歌にしたらこうなりましたという、ジャンルとしては始まりにして終わってしまった特異な曲。
歌謡曲にしては悲しすぎ、演歌にしては殺伐としている。
様々な東京の都市を流れ、最後には「いまでは青く目をそめた」とあるが、どういうことなのだろうか。どうにせよ、いいイメージは沸かない。どうしてこんな絶望的な曲を作ってしまったのだろうか。
17. くらいマックス / 村木正人
映画「高校生無頼控」の主題歌。
既存の歌というもののフォーマットを完全に無視した曲構成は、まさしく「夜のワーグナー」の異名をとる藤本卓也の面目躍如、小池一雄のエレクチオンな歌詞と相まって、まさにこの曲は灼熱の一大叙事詩である。
感(かン)じる時代 ラブタッチハードロック歌謡とはこういう曲のことを言うのだ。
いいじゃンか そうじゃンか
うひょひょォ~! くらいマックス
18. 涙は心で流します / 村木正人
前曲のカップリングだが、こちらは我旅路を思うという感じの静かなムード歌謡。まさに動と静、火山と小川という風情である。大した曲じゃないのだが、くらいマックスと合わせて聴くと非常に感慨深いものを感じる。
19. CHieftain's Daughter '79 / キャプテン・モジョ・グループ
「私のラヴァさん酋長の娘~♪」のディスコリミックス。
ディスコという言葉の意味を疑うような珍アレンジ。明らかにビージーズやEW&Fの劣化コピーのような音使いが侘しい。
20. 嗚呼! 深紅の旗東京に還る
東京とかいてふるさとと読む。
これは、桜美林高校が高校野球で初優勝した時の歌であるらしい。
ピッチャーの松本くんが延長11回まで170級投げきったとか、打たれたのはPL学園の中村くんといった出来事が、実況中継アナウンスに合わせて、少年合唱隊かなにかによってミュージカル調に歌われているのである。
東京代表は勝てないと言われて60年僕も、桜美林高校のことをもう忘れない。
桜美林健児はあきらめはしない
●総評
コサキンソングやおバ歌謡とは一線を画した、どこまでも本気だった楽曲たちのなんと輝かしくいとおしいことか!
"すべての音盤はすべからくターンテーブル上(CDプレイヤー内)で平等に再生表現される権利を有する"(湯浅学)
まさしくこの言葉を体感した、65分54秒でした。他のシリーズも欲しくなった!
[ 小池一夫 ]
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